台北で観光地より面白いバスと歩道体験

台湾でバスに乗るというスリル

台湾でバスに乗ったことはありますか。それはそれは刺激的で、命がけの経験です。実際に事故も多いようなのですが、とにかく運転が荒い。それはタクシーも同じですが、タクシーは乗った瞬間座席に座るからまだまし。バスは座席に座るまでがすでに、移動遊園地のジェットコースターレベルに興奮するし、自分を守るのは自分しかないんだ、という日本人が忘れてしまった本能を、急激に思い出させてくれます。

日本でこんな運転するバスの運転手がいたら、確実に社会問題になるでしょう。それがいいことかどうかはちょっと置いておいて、台湾のお年寄りがしっかりしているのは、この暴れバスや、うっかりとは渡れない横断歩道事情と、そしてもちろん家族愛のおかげだと思うのです。

日本では、基本的に「きちんとしている」「安全」「整備されている」「責任をもっている」ことが大事だとされます。この間東京に出バスに乗ったら、運転手さんがあまりに丁寧で、親切できちんとしていて感動しました。『危険ですからバスが完全に止まるまで席を立たないでください』という放送が流れ、バス停の手前では必ず運転手さんによる同様のアナウンス。数分ごとに繰り返されるアナウンスと、穏やかで乗客の動きに目が行き届いた運転。乗客が座るまで待つ心遣いと、おだやかでスムーズは発車、そしてガッコンガッコンしないブレーキ。

ベタな観光地より面白い、車中の人間観察

台湾のバスはどうかというと、まず乗った瞬間、ドアを閉めながら急激にハンドルを切って発車。うっかり席に向かって手放しで歩いていたら、必ずその辺にぶつかります。乗ってきたのがヒョロヒョロしたお年寄り?関係ない、関係ない!!もちろんお年寄りもそれは承知しているから、しっかりガッチリ手近のバーにつかまっています。たまにうっかりよろけても、乗ってきた時のヒョロヒョロ具合からは想像もつかない素早さで、近くのバーにつかまるのです。すごい、見もの。ベタな観光地に行くより、バスに乗って人見てるほうが面白いし、台湾。

そして、異常に頻繁な車線変更に、あっちこっちに振り回されながらやっと席につくとつるつる滑る座席。さらに、アジア人の足の長さに明らかにマッチしていない座席の高さのため、しっかり腰掛けると足がちゃんとつかない。つま先立ちで意味もなく頻発される急ブレーキの中、滑る椅子の上で体を支えるのはすごい筋トレになるのです、ご存知でしたか。

そして降りるバス停は目を皿のようにして見ておかないといけないのです。そして、ひとつ前のバス停ぐらいから行動を開始です。停車ボタンを押すだけではなく、出口にスタンバっておかなくては降りそこねてしまいます。運転手は乗客をあんまり見てませんし、ドアを閉めながら走り出すような運転ですから。意地悪しているわけではないので、叫べば止まってくれますが、人が多くて声が届かなければ次のバス停まで運ばれてしまうのです。台北のバスは前後が長いのです。

そして、さぁバスから降りるという時にも、決して氣は抜けません。バスが止まるのはバス停だけど、止まり方ももちろん適当。そして、ほんのわずかでも歩道とバスの間に隙間があれば、バイクが突っ込んでくるのです!!だから、バスから降りるときには自分の目できちんと後方を確認しなくてはいけないのです。

考えられないですよね、バス停(付近)でバスが止まったのだから、人が降りる可能雨性大でしょう。その横を、歩道とバスの降り口の間を、なぜこのタイミングで無理やりすり抜けるの、バイク!!人をひきたいのか!?無差別に狙ってんのか!?

いえいえ、もちろんバイクの人は「そこまで考えが至っていない」だけなのです。ですから、バスを降りるということもまた命がけだということを肝に銘じて(何度かヒヤッとすれば体が覚えますけどね)、きちんと自分の目で確認してから降りる必要があるのです。

ここまでは、「台北でバスに乗る」というすごく普通の行為を通して体験できる、まるで映画のような日常です。バスの車体の種類も運転手さんのタイプもいろいろありますが、ま、だいたいこんな感じ。

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モットスリルが欲しいなら、青信号で横断歩道を渡ってみよう

え、まだスリルが足りない?であれば、台北の街歩きをしてみましょう。横断歩道が青になりました。さぁ、渡ろうと足を踏み出すといきなり車が突っ込んできます。そりゃそうですよ、横断歩道が青でも車優先ですから!!ほら、周りの台湾人はじっと立ち止まっているでしょう?このようなときには、じっと車が過ぎ去るのを待つか、勝負に出るかです。勝負の仕方は簡単、車のフロントガラスもしくはバイクのヘルメットをまっすぐにじっと見つめ、力強く牽制しながら堂々と歩く、のです。でもあまりおすすめしません、命がけなので。とくに、ボロい車にはお気をつけくださいね。いよいよマナーがないですから、いくら眼力鍛えても突っ込んで来る可能性が高い。タクシーもボロいのにはのらないように。

ワイルドさの中の自己責任が、老人元気の秘訣

はじめはこういうことすべてに「危ないなぁ」と思っていたのですが、もしかしたらこうして日常の中でムダに甘やかされることなく、日々自己判断能力を磨いているから台湾の人は年配になってもしっかりしているのではないか、と思い立ったのです。日本では何もかもがいたれりつくせりで、それで「当たり前」と思っています。だから、バスで自分がヨロっとしたら運転が悪かったから、青なのに車が突っ込んできたら車が悪い、と考えます。だって「普通は」あちらがきちんとするところだから、って。あれぇ、自分の責任はどこにいったんだろう。揺れることを想定して手すりにつかまる、青でも周りを確認する、その手間をすっとばしって、全部人のせい。そうしているうちに判断能力はすっかり退化して、人を責める力ばかりがついていってはいないでしょうか。

安全できちんと正しく、ということばかりに執着するより、自己責任で周りに気を配っておく、その緊張感が台湾のお年寄りを人間をしっかりとさせている気がしてなりません。なんかええんですよねぇ、このワイルドさが。安全で安心な国は素晴らしいですが、任せっぱなしと安心は違いますね。もちろん台湾の場合、お年寄りがとても尊重されて大事にされる文化があって、それも年配の方々がイキイキとしている秘訣でしょうね。今の日本にはないものばかりだなぁと思いながら、時々バスに揺られています。

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