秋の京都と恵文社とマドレーヌ

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日本に帰って、秋を満喫してきた。従妹の結婚式が下賀茂神社であって、その後少し日にちをのばして、金閣寺や清水寺、枯山水の庭を見た。親戚の集まりも楽しかったし、3姉妹の従妹も美しく着飾って、シンプルだけど最高の司会者に恵まれて感動した披露宴もしみじみと温かかった。紅葉はまだだったけれど、とはいえ、イチョウは薄く色づき優しいグラデーションが青空に映えていたし、夕暮れ時の寂しさも、桜の葉がカサカサと道を転がる音もすっかり秋だった。

最終日は一人だったから、もう、それはもう、心置きなく本を探すことに決めていた。台湾への飛行機は19時。関空と京都市内は遠いから、15時過ぎには関空行きのバスに乗る。だから、それまでの間のお楽しみ。ジュンク堂か大垣書店かなと思いながら、前夜に乗ったタクシーで運転手さんにおすすめの本屋を聞いた。本当は期待してなかったけど、思いがけずふと思い出したように教えてくれたのが、恵文社という本屋さん。泊まっていた東急ホテルからは、バスを乗り継いで50分ほどかかる道のりだった。

ネットでちょっとだけ見たところ、品ぞろえのこだわりが面白くて、本好きに愛されている優しくておだやかな書店のようだった。いろんな手書きのポップがあるのかな、面白い本、出版されたばかりじゃないけど味のある本がたくさんあって、きっと大型書店では出合えない本があるんだろうか。今の私に必要な言葉が、そこで私を待ってくれていると思うと、本屋に行くんだと考えるだけで心が弾む。今必要な時期なんだな、と思う。

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朝の小さなバス旅。大原行のバスだから、朝からリュックを背負った年配の人がたくさん乗っていて、川沿いを走れば街路樹と木漏れ日がキラキラしていた。川の石橋の横のバス停で降りると、急に空気が美味しくなっていて、懐かしい香りにハッとした。川はきれいで、天気が良くて、明るい日差しに秋の涼しい風が吹いていた。久しぶりの田舎の空気に、体がいっきにゆるんで細胞がふくらんだ。

恵文社は間口が広くて、横に長いオシャレな雑貨屋のたたずまいだった。通り過ぎてまずは腹ごしらえ。朝ごはんを食べながらお店の人と無駄話をしていたら、恵文社がもう20年だか30年だか続いている本屋で、どこかの新聞か何かで、世界の書店10として紹介されたから世界中から人が訪れて来るらしい。絵本が多いのかな、それなら言葉を超えて楽しめるだろうから。

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お腹もいっぱいになって、お昼のお弁当まで作ってもらう約束をして、といっても、朝ごはんを食べたのが11時半にもなっていたけど、やっと本屋のドアを開けた。本屋の静けさと、あの大好きな本のにおい。机や棚に並んだ本。でもどこにも手書きポップなんてないみたいだった。せっかくのパーティなのにあせっちゃもったいないから、のんびりと呼吸を整えて、入った側のドアの近くからじっくりと書棚を眺めた。文庫も新書も大判も、ちいさなまとまりでひとつの棚に並んでいる。書店の一般のように出版社とかシリーズごとじゃなくて、もっと有機的に並んでいる本は、繋がっている。決まったルールに基づいてじゃなくて、本を届けたい人が選んだ場所だから、本はとても安心してそっとそこに落ち着いているみたいだった。

15冊の本を買った。小さいのも、大きいのも。お店の人に相談して、今回は2冊の「はじめて」を選んだ。自分が見つけた今の私に確実に必要な本とはちがう、宝箱みたいな「はじめて」。一冊は文庫だけど4コマエッセイみたいなものだったから、移動の間に読めて、こちらの感想はう~ん、だった。あと一冊は、まだ数ページ読みかじっただけだけど、いい予感がする。

本はすごい。知恵と人生がつまっていて、何度も読む本は何度もいろんなことを気づかせてくれるし、会ったことのない誰かが編んだ言霊は私の中にすっと忍び込んでひっそりと隠れて。それがとても大事なことのような気がする。もちろん、何かを自分の中に隠すために読むわけじゃないけど。ややや、そうなのかもしれないな。引き出しとかそうしうことじゃなくて、みんな本が好きな人はその言霊をそっと隠す秘密にはまってるだけなのかもしれない。

紙袋を抱えて、お弁当を持って、帰り道も良い旅だった。作ってもらったお弁当は、空港で開いてみるとなんとバターたっぷりのおっきなマドレーヌのおまけがついていた。朝ごはんを食べてお弁当を頼んだのは、本屋の数軒横にあるケーキ屋さんだった。じわーっとあったかくて、ありがたい。型通りじゃなくて、見知らぬ私を思いやってくれて、お互いの言葉で話しができるお店には、優しい人たちがいて、秋の京都はすっかりあったかい記憶でいっぱいになった。また行きたい場所が増えることも、生きている醍醐味。

さぁ、本を読もう。

 

 

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