台湾で漢方薬(中藥)を処方してもらうなら知っておきたい基本中の基本

台湾には中医(中医学の医師)と西医(西洋医学の医師)がいます。どちらも国家資格。日本では漢方医は薬剤師で、中医師の国家資格というものはありませんよね。

ですから台湾では、体調が悪いときに中医に行くか西医に行くか自分で選ぶことができます。

慢性病や一般的な体調不良に強いのが中医

台湾には中医学の知恵が浸透していますから、基本的に慢性的な不調は中医に行って相談し、中薬(漢方薬)・針・推拿・氣功などで治療します。

肩こり・頭痛・生理痛・下痢・五十肩・むくみ・疲れ目、そういうのも治療の対象で、痛みを抑えるのではなく根本治療をするというのが西医と大きく違うところですね。

もちろん、それぞれの人の考え方次第ですし、若い人たちの間ではだんだんと中医の需要は減っているようでとても残念。身近にある大事なものほどかすんでしまうのは、どの国も同じのようです。

7人の中医+2箇所の中藥行経験から考える

私は中医学を学んで薬膳を教えていることもあって、中薬には興味津々。たいして不調もないのに「肩こり」とか「太ももが夜るになるとムズムズする」などの症状を理由に中医の診察を受けてきました。

基本的には自分の症(問題)を知りたかったからなのですが、薬膳の勉強をしてもなかなか自分の症はつかめないもの。ここまで長い道のりでした。症というのは問題の根本なので、それが分かれば自分の不調の解決方法がわかります。でもこの症を探るのが本当に複雑で、一筋縄ではいかないのです。なので、医師の力を借りようと中医通いをしてきました。

すでに7人以上の中医師に診断を受けたことがある私・・・。日本ではまったく病院に行かなかったのに、台湾の中医はどんなけ好きなのと自分で突っ込みたい。(一般の若い台湾人より中医に詳しいぐらいになりました)

各医者ごとに特徴が大きく違う

中医も西洋医と同じに、それぞれ得意分野があります。そして、治療方針もさまざま。台湾の友達がいいといって勧めてくれた医者で、3時間も待たされた上にひどい診断でがっかりしたこともあります。人氣がある医師かどうかというのもたしかに参考にはなりますが、受診してみて、医師やアシスタントの質問の仕方、内容でだいたい力量は分かります。そしてもちろん一番大事なことは、相性。どの人間関係でもこれは見すごせないポイントですよね。

やはり、信頼できる先生かどうか自分に合う先生かどうかは、診療を受けてみて実際に薬を飲んでみないと分らないものですね。

中薬(漢方薬)は煎じて飲むか粉で飲むか?

中薬というのは日本でいうところの漢方薬です。でも漢方薬とは、中薬が日本で独自に進化したもので、処方も服用量も日本人仕様になっているもののこと。ですから、厳密には別のものです。当サイト(台湾の暮らし)では、台湾のものを中薬とよびますね。

さて、中薬には2種類あります。粉状のいかにも薬らしいものと、木の根っこや葉っぱがそのまま紙に包まれたものです。

粉状のものは中薬のエキスを粉にして飲みやすく携帯しやすくしたものです。値段も手頃で簡単に服用できるため、忙しい人や面倒くさがりな人にピッタリ。ただし、加工されている分効果は低くなります。

煮出して飲むタイプは、値段もはりますし、手間もかかります。決まった分量の水で煮出して煮詰めて、たいていは1日3回に分けて飲みます。冷たくして飲むのは厳禁なので、保温ポットに入れておくか、温め直します。粉より高いし手間もかかるけど、その分本物の生薬を煎じて作るので、効果は高くてパワーがあります。

私はやっぱり煎じる生薬が好きです。

煮出しに大活躍する台湾の電氣鍋

中薬を煎じるのはなかなか大変です。グラグラ沸かしては成分が飛んでしまうからダメと言われるし、あまり弱火では時間がかかりすぎてしまいます。では台湾の人は毎朝中薬を火にかけてマメに煎じているのかと言うと、じつは簡単に煎じることができる秘密兵器があるのです。

それが電氣鍋。すごくレトロなシステムのシンプルな鍋ですが、台湾では一家に一台。台湾人が日本に留学するときには必ず持っていくというほどのキッチンの必需品です。

これでスイッチポンで簡単に煎じることが出来るから、毎日続けられるんですね。

さらに、セレブサービスも

もし近くに中藥行(中藥の藥局)があれば、別料金を払えば店で煎じてくれるというセレブサービスも受けられます。朝、決めた時間に煎じてもらった中薬を受け取りに行くだけ。う〜ん、マンダム。

総合病院・クリニック・中藥行(調剤)・中藥行(もぐりで診断する)など、さまざまなチョイスがあります

・総合病院

台湾の総合病院も日本と同じでさまざまな科が一箇所に集まっています。ところで日本の病院でも最近漢方藥を処方しますが、それは西洋医師が付け焼き刃で漢方を学び、システマチックに処方しているだけのもの。本当の漢方の中医学的な処方方法とは残念ながらまったく違います。

・クリニック

対してクリニックは、様々に特化した個別の病院。多くの中医も独自で開業していますから街中あちこちに個人クリニックがあります。不妊治療専門のクリニックもたくさんありますし、最近では、西医と中医がともに常駐しているクリニックもあります。

・中藥行

中藥行とは、日本の調剤薬局のイメージ。医師の書いた処方にしたがって粉中薬や煎じる中薬を購入することができるところです。同じ中藥行でも常駐の中医師がいて診断をうけられるところもあります。

薬膳スープの材料や、病気ではないけれどちょっとした養生のための中薬が欲しい時も、中藥行が対応してくれます。たとえば、生理の養生のために補血(血を増やす)したい場合や、季節の変わり目の養生、軽い腹痛などの症状です。

中藥行は、店構えからして生薬を売っているところという感じで、後ろの棚にはさまざまな生薬が並んでいます。町のいたるところにあります。店内には中薬の香りが漂い、この香りだけで癒やされるほど。私は大好きです。

また、もぐりで診察をする中藥行もあります。これは昔ながらの下町風で、実際には違法です。医師ライセンスのない藥剤師が、脈診などをして処方してくれます。藥の販売自体は違法ではなく、医者でないのに触診することが違法なんですね。とはいえ、地域の人に愛されて長年営業していてすごく信頼と技術がある人もまだまだいます。古き良き昭和といった感じの趣です。

中藥(漢方)は即効性はあるの?本当に効くの?

日本では漢方のイメージは「なかなか効かない」「効果が出るのに時間がかかる」だと思います。でも本当に見立てがよければ、面白いぐらいズバッと効果が出るのが中薬。漢方もしかり。症状が2,3日で改善したり、他のいろんな問題も一緒になって芋づる式に解決したりします。根本治療だから、奇跡みたいなことが起こり得るのです。でも実際に体はすべて繋がっているのだから、おおもとの問題が正されたら他のところも解決するのは当たり前ですよね。

基本的に、痛みを誤魔化したり問題を隠したりする方法ではなく、根本治療をするんですから自分の生活習慣も変えていかなくてはいけません。中藥だけ飲んで、あとは毎日冷たいビールにコンビニ食やファーストフードでは、治るものも治りません。自分が大好きなものが体に悪影響を与えているのはよくある話。私は揚げ物やビールが大好きですが、中医に診てもらうと必ず禁止されます。そして素直にその忠告をきくことが、治療の一環です。

中藥で調子が良くなったからといって、調子に乗るのも禁物。でもその辺を注意しておけば、慢性頭痛や偏頭痛、生理痛や肩こりは解消できます。ついでにいろいろよくなります。肌つやとかね。その効果は、良い先生に出会えたら、あっという間に感じられて驚くほどですよ。

最後に、中藥を買う際にぜひ氣をつけてほしいこと

どこで診察してもらうか、処方してもらうかは、タイミングや縁だと思いますが、氣をつけてほしいのは、一般的に中医師は一度に大量の薬は処方しないということです。まずは3日とか1週間とかの期間で中藥を飲んでみて、その後再診察し、体に合っていたかどうか、効果があらわれてきたかどうかを確認して再処方します。そうして1週間ぐらいのペースで体調が改善するまで通います。

ですから、体調やその時の状況に合わせて、毎回処方される藥が変わるというのが正しい流れです。その微調整がとても大事なのです。

ですから、はじめてなのにいきなり1ヶ月分や3ヶ月分を処方するような人に、良い中医師はいません。そういう意味でも西医とは違いますね。病名に対して藥を出す西洋医学、その人の体の現在の状況と不具合の根本的な原因に合わせて中藥を処方する中医、その違いを知っておくことが大切です。

ですから、旅行で来て1ヶ月などの長期の中薬を処方してもらうのも、おすすめできません。体の為に飲む中藥ですから、基礎を押さえてぜひとも活用してください!

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