日本に帰る気になった理由と、発想の転換「義務と楽しみを分けること」

日本に帰国することを決めた。

台湾にいるのも楽しかったけれど、3年目にもなると思ったように食生活を充実できないことがはっきりしてきた。この春から、台北を出て、台湾最後の楽園といわれる台東に越してきて、景色も空気も環境も抜群になった。でもやっぱり、質の良い食べ物が思ったようには手に入らない。台北のほうがファーマーズマーケットなんかがあって、まだましだった。とはいえ、あの空気の悪い台北に戻る気にはならない。

そうして「日本に帰る」、という選択肢がふと頭に浮かんだ。

一度浮かんでみると、今の私が望む食や暮らしは、日本でなら実現できるんだなぁ、ということがはっきりしてくるばかりとなった。魚や肉の新鮮で安全なものを買って、無農薬の味噌や梅干しや調味料を手作りして、猪や地鶏でスモークや干し物を作る。そんな、手を使って積み重ねる暮らし。やっぱり、いいなぁ。放射能の問題があるとしても、作り手の誠実さや、生真面目さを思えば、日本がいい。

こだわっている食べ物なんてどこででもありそうでいて、言葉の問題や、倫理観の問題、土地の問題などいろいろとハードルが高い。野菜や肉や魚は、毎日か数日おきには買いたいから、近くで手に入らないとすごく不便だ。

しかも、台湾の家屋は、京都の古民家に住んでいた私からすれば、一時的に住むにはいいけれど、面白みも魅力も感じられないものばかり。老家(ラオジャー:古民家のこと)といっても、コンクリ造りだったり、崩れかけたレンガ造りだったり、日本の古民家とは技術も素材もすべてが違うことに、台湾での家探しを通して気づいた。

家は、やっぱりもとが良いものだからこそ、手をかける面白さがある。日本の古民家はたしかにそのままでは住みにくいけれど、100年を超えてからまだまだ美しいなんて、本当にすごい。

まぁ、こうしていろいろ理由は上がるけれど、簡単に言えば飽きたんだろうな。台湾の時期が終わって、これを踏まえた日本での暮らしをどうするか、っていう時期が来たんだろう。台東に暮らしたことで、いろいろ踏ん切りがついた。

そうして、日本の家を探し始めた。島を探してみたり、海の近くを探してみたり、ネットでいろんな家を見て、電話で問い合わせて、すでに一回は島にも家を見に行った。情報を集めて、確認して、そのたびに自分たちの暮らし方を考えることになった。

自分たちが暮らしたいと思ういい家は、田舎にある。でも私が今望んでいるのは、身近にお店があっていい食材を買える気軽な場所。それは街中だろうな。だけど、隣がくっついている街中にはもう暮らせないなぁ。ゆったりとした場所で、気持ちい景色があるところがいい。

誰もが田舎暮らしの不便さが嫌で田舎から離れていくその気持ち、よくわかる。かといって、スーパーやコンビニやドラッグストアで買うものがほとんどない私にとっては、若い人がやっているこだわりのお店がある商店街や、小売店がある町が理想だ。大きな買い物施設なんかは、あっても必要がない。あんなに広い店の中に、買いたいものがほとんどないんだよなぁ。

でも昨日、てらきちさんがふっと言った。

「かなは食材の買い物が好きなんだから、“買い物は楽しみ”ということにしたらいいんじゃないかな。毎日の買い出しと、楽しみの買い物とを一緒にするからややこしくなるのかもよ。普段の食材は定期便で送ってもらうこともできるし!」

目からうろこだった。そうか、私は義務としての買い物と、楽しみとしての買い物を、一緒にしてた。(どっちも買いたいのは食材)だから、毎日の生活の中にちぐはぐな気持ちが織り込まれて、住むところが定まりにくい条件(車に乗らずにいいお店で買い物ができる立地がいいけれど、街中は嫌)とゆれていた。場所によってはそういうところもあるだろうけど、今縁がないそれを探すよりも、自分の条件の矛盾を見直したほうがよかったんだ。

野菜はてらきちさんが家庭菜園で作ると言っているし、いい宅配野菜も心当たりがある。きっと鶏肉やらも探せる。シカやイノシシはいい猟師さんと知り合っているし、、、。そうか、そうだったのか。あとは、車で街に出る交通の便さえよければ、それでよかったんだ!

これは、思いがけない発見だった。立地的なことで悩みが大きかったけど、これならもっと大事なことに注力できる。それは、家の造りのよさだ。町の中じゃなくていい。でも町にある程度アクセスが良ければいいんだ。町に出て美味しいものを食べて、心弾む食材を買って帰る。普段は宅配や、保存食を活用する。

庭で家庭菜園をして、てらきちさんの自然栽培台湾茶の講座や、私のズルい悟り方の講座をしよう。来てくれる人の気持ちがのびのびと開く家がいい。毎日のシーフーとの暮らしが穏やかで、空気が良くて、自由なところにしよう。これまでとは違う暮らしにシフトするということも決めたから、それに注力できる場所を探そう。

やっと、見えてきた。これできっと見つかる!

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